近年、宇部市をはじめ山口県全体で、産業廃棄物(以下:産廃)処理のルールと流れが大きく変わりつつあります。
「以前より処理費が高くなった」「搬入できない廃棄物が増えた」と感じる方も多いのではないでしょうか。
実はこの背景には、環境保全と再資源化を目的とした新しい仕組みや法改正が関係しています。
今回は、宇部市における最新の産廃処理の動向と、地域のリサイクル事情、
そしてこれから建設業者・解体業者が知っておくべきポイントをまとめます。
宇部市が進める「循環型社会」への転換
宇部市は、かつて石炭産業で発展した「ものづくりのまち」として知られています。
しかし現在は、産業構造の転換に伴い、“環境型都市”へのシフトを明確に打ち出しています。
市では「環境基本計画」の中で、
- 廃棄物の発生抑制(リデュース)
- 再利用(リユース)
- 再資源化(リサイクル)
の3Rを推進し、産廃を“処分するもの”から“再利用する資源”へと位置付けています。
特に解体業や建設業から出るコンクリートがら・木くず・金属くずなどは、
これまで「廃棄物」として処分されていましたが、
現在はリサイクル率向上のための分別・再利用ルールが強化されています。

新ルール①:再資源化の義務化が進む
2024年以降、山口県内では「建設リサイクル法」の運用強化が進んでいます。
宇部市もその対象地域として、次のような取り組みが強化されました。
- 延べ床面積80㎡以上の建物解体には事前届出が必須
- コンクリート・木材・アスファルトなどを現場で分別・再資源化
- 分別せず混合廃棄すると、罰則対象(最大20万円以下の罰金)
つまり、従来のように「一括で運搬・処分する」方式は時代遅れとなり、
「どの廃棄物をどう再利用するか」まで設計することが求められる時代になっています。
この影響で、宇部市内でも「混合廃棄物の受け入れ制限」を始めた処理場が増え、
分別と搬入ルールが厳格化されました。

新ルール②:電子マニフェストの導入義務化
もう一つの大きな変化が、電子マニフェスト制度の義務化拡大です。
従来は紙ベースで処理の流れを記録していましたが、
2024年以降、一定規模以上の事業者には電子管理(JWNET)での運用が義務化されました。
これにより、
- 処理業者・排出事業者・運搬業者のトレーサビリティ(追跡性)が向上
- 不法投棄や不適正処理の防止
- 行政監査時の透明性強化
が実現され、よりクリーンな産廃管理体制が整いつつあります。
宇部市でも、電子マニフェスト未導入の事業者に対して指導や助言が行われており、
今後は中小規模業者でも対応が求められる流れです。

新ルール③:処分費の見直しと「分別コスト」の増加
リサイクル義務の強化により、
処理場では手選別・機械選別の工程が増加しています。
これに伴い、宇部市および周辺地域(山陽小野田市、防府市など)では、
2024年以降、処分単価が10〜20%程度上昇する傾向が見られます。
たとえば木くずや混合廃棄物の処理費は、
かつて1m³あたり8,000〜9,000円だったものが、
現在は1万円〜1.2万円前後まで上がるケースも。
そのため、建設・解体業者にとっては、
「産廃処理費の上昇=工事原価の上昇」を意味します。
一方で、適正分別によるリサイクル費の削減ができれば、
結果的にトータルコストを抑えることも可能です。

宇部市で進む“地域連携型リサイクル”の動き
宇部市では、行政だけでなく民間企業によるリサイクル連携も広がっています。
たとえば、
- 建設系廃材を骨材として再利用する再資源化施設
- 木くずをチップ化してバイオマス燃料に転用
- 鉄・非鉄金属の再販ネットワーク整備
など、「産廃=新しい資源」という視点での取り組みが増加中です。
株式会社BLASTでも、解体現場で発生する廃材を分別・再利用し、
処理コストを抑えながら環境負荷の少ない解体工事を推進しています。
こうした動きは、今後の宇部市において
「解体」「運搬」「処理」「再資源化」が一体となった
地域循環型の産廃モデルを形成していく大きな流れとなるでしょう。

今後の展望と事業者へのアドバイス
宇部市の産廃処理は、これからも進化を続けます。
今後数年で想定される変化としては、
- 電子マニフェスト完全義務化の拡大
- 建設リサイクル法の届出対象範囲拡大
- 再生資源活用のためのインセンティブ制度導入
などが挙げられます。
そのため事業者は、
① 分別・リサイクルの意識を社内に浸透させる
② 行政ルールを常にアップデートしておく
③ 信頼できる処理業者・運搬業者と連携を強化する
ことが重要になります。
まとめ:産廃は「処分」から「未来をつくる資源」へ
宇部市では、環境と産業の両立を目指し、
“廃棄”から“再生”への転換期を迎えています。
これからの時代、産廃を「コスト」として見るのではなく、
地域を支える“再生エネルギー”として活かす発想が求められます。
株式会社BLASTは、
宇部市・山口市・山陽小野田市など山口県全域で、
環境に配慮した解体・運搬・処分の一貫体制を整備しています。
今後も地域のリサイクル推進に貢献し、
持続可能な社会づくりを支える企業として歩んでまいります。
